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シリーズ⑩ ブロッコリー

 神戸市では毎年12月の献立で、給食用食材に「神戸産」ブロッコリーを使用しています。地域の供給力にも支えられ、給食における地産地消率は平成30年度で87.1%となっています(生鮮野菜に限る)。

●今が旬!の神戸産ブロッコリー
 12月に入り、神戸市ではブロッコリーの収穫が最盛期を迎えています。神戸産ブロッコリーで栽培基準に合うものは「こうべ旬菜」として出荷されます。旬は冬(※一部、春に出荷されるものもあります)。ブロッコリーはキャベツの仲間で、食べるのは大きな花のつぼみと茎の部分。ビタミンや葉酸など栄養が豊富で、それでいてクセがなく調理もしやすいことから、需要の高い野菜です。

●差別化で地産地消を推進
 神戸産ブロッコリーは主に西区、北区で生産されています。品種にもよりますが米の収穫が終わってから作付けできる点も、農業生産者への普及を後押ししました。収穫時期が違う他産地のものや外国産も流通するため、1年を通じ店頭に並ぶ野菜ですが、神戸産のほとんどは11月~3月に出荷されます。西区では、街から近い地の利を活かし、朝に収穫したものをその日のうちに消費者へ届けるという「鮮度」にこだわり、他産地との差別化を図っています。

●失敗を糧に努力する
 西区岩岡町で農業を営む山崎稔洋さんは今年、9月半ばに苗を植え付けました。苗づくりは近年、猛暑のため難しくなっているそうです。圃場は毎年場所を変え、土壌成分のバランスが崩れるのを防ぐよう気を付けます。「おいしい野菜を育ててくれるのは土。土づくり以上に大事なものはない」。特に肥料のやりすぎは土質を変えてしまうため、注意しています。作付けの時期は毎年、お天気との相談。今年はちょうど台風や秋雨の時期と重なり、予定より2週間ほど遅らせたそう。11月も下旬を過ぎ出荷の時期が近づいてくると、花蕾(*つぼみ)がぎゅうっと詰まったいい状態で収穫できるよう、日の当たり過ぎや水のやりすぎに気をつけます。「農業にもAI(人工知能)の活用が進んでいるけど、頼りになるのは自分の経験と感覚」。山崎さんがブロッコリー栽培を始めてから8年目になりますが、自分なりのコツをつかむまでにはたくさんの失敗と試行錯誤を繰り返したそうです。

 露地栽培のため、1月になると、早朝は霜が降りて葉が真っ白になります。一年で最も気温が低くなるこの時期だけは、日が昇り空気が温まった頃から収穫作業を始め(午前10時頃)、昼一番の出荷を目指します。収穫は手作業で、1株ずつ丁寧に鎌で茎や葉を切り落とします。収穫後は鮮度を維持するため、日陰に置き温度変化に気を付けます。今年は3月までに約9000株の出荷を予定しています。

今がまさに旬のブロッコリー。 今月は小学校給食でドレッシングを添えた「蒸し野菜」「ゆで野菜」が提供される予定です。 

つくる人代表

 「今の子どもたち、みんなブロッコリー好きでいてくれるかなあ。おいしいと言って食べてもらいたいなあ。」

 金融機関を退職後に就農、今年で13年になります。当時、父親が営んでいたぶどう農家を引き継いだのがきっかけ。「最初の頃は、色々な人がアドバイスをくれるのだが、なぜそうなるのか、なぜそうしないといけないのか、経験のない自分には理解できなかった。実際にやってみて失敗した経験が、今に生きている」。山崎さんが部会長を務めるJAの「こうべ旬菜ブロッコリー部会」は60人前後が参加する大所帯ですが、勉強会を開催したり情報交換したりと、さらなる栽培技術と競争力の向上を目指して、みんなで頑張っています。

山崎稔洋さん(西区岩岡町)
JA兵庫六甲 こうべ旬菜ブロッコリー部会長

 
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